2010.08.21
Celer / Mane Blooms


 レコード屋は連日大盛況。Peter Savilleに倣い、閉店後に屋号を決めようと思っていたのですが、それが惜しくなるほどの順調さで営業しています。
 また、アポイントメント制のレコード屋というと、気難しい店主の視線を背中に感じながら……というイメージがあるかと思いますが、基本、店主は不在。近所の新事務所で仕事をしています。つまりは入店の際と会計の際に携帯で呼び出していただくシステムをとっていまして、このユルさが好評を博しているとともに、在宅仕事の自分にとっては、この短い往復が、予想以上の息抜きとアイデアの源になっていたりもします。これも惜しさの原因。

 月曜日のオープン以来、水曜日には初の宿泊客が出るなどの事件を挟みながら、すでに50名ほどのお客さまが来店されました。で、前回の告知に「うっかり照明を外してしまった」と書き、「18時閉店」と記していましたが、その泊まりのお客さまが、かなり強力な照明を置いていってくださっています。これにより、これまで巨大なワンルームに寂しげなキッチンのシーリングライト+ひとり用らんたんの微弱な光で恐るおそる(それを知ってLEDヘッドライトを持ってきたのは元シトラスの正田くん。アホです。流石です)というのが解消され、夜でも大丈夫となりました。あまり遅いとアレですが、どうしても昼間の来店が難しいという方は、その旨御連絡ください。できる限り対応いたします。

 JAZZSSWのレアアイテムを中心に、積み上げると自分の背ぐらい買ってくださったプロの方、わざわざ地方からいらして、パンパンのダンボールをコンビニ発送していた方などが、真にオールジャンルな在庫同様、ケオティックな買い物を楽しまれたにも関わらず、本日最後のお客さま(珍しく知人)には、「全然出がらしじゃないじゃん!」という嬉しい言葉を頂いています。

 というわけでみなさま、屋号がついてしまう前に、ぜひ御来店くださいませ。(御予約は
こちらから)

 写真は今週届いた7インチ。新居にスピーカーが繋がっていないので、まだ音を聴けていないのですが、とにもかくにも最強のアートワーク。自分もこんな写真が撮りたい。







ちなみに写真上の12インチならぬ11インチは100円です。下のなんかも再発CDぐらいの値段で出せると思います。もちろんさらにくだらないもの、さらにレアなものもあります。全部で3500枚ぐらいは出ます。




2010.08.14 / 告知:続・レコード屋はじめます。


 北山雅和さんによる前回の出張ブログは、bit.lyのカウント(自分はアクセス数の解析のしかたを知りません)から予想するに、5000人以上の人に読んでいただけたようです。ライヴなら、東京国際フォーラムAにて1回ぶん、新木場STUDIO COASTなら2回ぶん、渋谷ROKUの貸し切りパーティであれば、実に250回ぶんの不特定多数に届いたことになります。
 現在は、デザイナー志望の人をターゲットにしたマーケットというのが確実にあり、デザイン誌やコンピュータ関連書籍も百花繚乱の世となっていますが、北山さんの文章のように、現場の「実務」と、そこに内在する「感情」とが並走し、それらがまるで、ミルクを放たれ、重ねてコーヒーまでをこぼされたかのよう染み込んでくる文章というのは、稀有だったのではないでしょうか。

 さて、Twitterには「明日からまた馬鹿話に戻ります」と書きましたが、その前に再度告知です。

 前々回の日記に書いた、「レコード屋はじめます」ですが、明後日、16日の月曜日に、ようやくオープンします。
 なんとか引越し騒動も鎮火し、筋肉痛も落ち着き、まだスピーカーもカレンダーも定位置にはありませんが、こうしてブログを書く余裕ができ、明日〜明後日で値づけ(といっても東西南北の白壁に振りわけるのみ。「北は100円」とか?)にかかり、月曜の朝から、貴方や貴女をお迎え致します。来店ご希望の方は、
こちらまで、希望日/時間の御連絡をお願いします。
 渋谷から20分ぐらいの駅&駅近ですので、お誘い合わせの上、フリマ感覚で遊びにきてください(すでに20名様ほどの予約が入っております)。

 なお、備品やカード決済の準備がありませんので、レコード袋持参/キャッシュオンリーでお願い致します。

 また、閉店時間は18時ぐらい、とさせてください。ゆっくり深夜まで見て頂きたかったのですが、うっかり照明を外してしまいました。












2010.07.29


 今回、棒線以下の長文を書いているのは、江森ではありません。

 ある日、このブログにも多く登場する先輩グラフィック・デザイナーの北山雅和さんとメールのやりとりをしていたところ、そこにフジファブリックの最新作、『MUSIC』のジャケット制作に対する想いが、ポツポツと綴られてきました。
 その文章には、単なる仕事を超えた親密さがあり、名曲「若者のすべて」への想いがあり、なにより「新作にして遺作」という難題に挑むデザイナーの苦労と、それを乗り越えた人間ならではの、気持ちのよい饒舌さが感じられ、編集者でもある自分は、すぐに「自分だけが読んでいるのはもったいない!」という気持ちを強くしたのでした。
 ただ、唯一の難点は、短かったこと。ワード数にして400程度のものであり、江森個人に向けた返信用の文体であったため、僕は思い切って、「一編の作業日誌にしてみませんか?」と返信してみたのです。

 その結果が、以下の素晴らしい長文です。

 本来であれば、北山さんのwebに掲載されるべきものなのですが、現在(も未来も?)北山さんのブログというのは(mixiやTwitterですら)存在しませんので、やはりここに「出張ブログ」というカタチで掲載させてもらうことにします。
 ひとりでも多くの方が、以下の文を読まれることを願っていますので、無断転載大歓迎。リツイート願います、です。

 それではフジファブリック・ファン必読の名文にして、音楽の裏方であるグラフィック・デザイナーが、どんな気持ちで仕事をしているのかの赤裸裸な実況報告、お楽しみください。


フジファブリックと、フジファブリックの新作、『MUSIC』。
そしてフジファブリックの新作、『MUSIC』のアートワークについて


──グラフィック・デザイナー 北山雅和(Help!


 フジファブリックの新作、『MUSIC』の発売日である今日、こうして原稿を書くことになるとは思いませんでした。でも同時に、「きっとここまでが僕の引き受けた仕事だったのだろう」と、不思議な気持ちになってもいます。
 些細なやりとりから原稿を書く機会を与えてくれた江森丈晃くん、重要なタイミングでのジャケット・デザインを僕にオファーしてくれたプロデューサーの薮下晃正さん、ディレクターの芦澤紀子さん、マネージメントを担当されているSMAの大森ゆかりさん、山岸ケンさん。また、タフにがんばっているバンドのメンバーに、まずは感謝します。どうもありがとう。

 それでは少し遡ってみます。

「北山くんにお仕事をお願いできないかと思ってさ……」
 5月の中旬、懐かしい知人から連絡をもらった。電話の主は前述の薮下さん。YABBYと言ったほうが通りがよいかも知れない敏腕プロデューサー。最近もゆらゆら帝国などを担当されていたが、自分にとっては、Ki/oon時代の印象が強い。僕がまだ20代の中頃に、真心ブラザーズ(『サマーヌード』『KING OF ROCK』etc.)やブロンソンズなど、おもしろい仕事を御一緒させてもらい、また、僕の学友であるスチャダラパーもとてもお世話になっていた、仕事を越えた「兄さん」的存在だ。
 そして電話の「お仕事」とは、フジファブリックの新作。
 ……新作といえど、作詞作曲者は夭逝してしまっている。……EMIからソニーへの移籍第1弾ということで準備を進めていた矢先の訃報であり、現在は残されたアルバム用音源を元に、ほかのメンバーたちと制作を進めている……とのことだった。
 僕は少し戸惑ってしまった。

 そこからもう少し遡り、2009年の師走、12月28日。Corneliusの事務所である3Dの忘年会。僕は志村くんの悲報を、その忘年会に出席されていた片寄明人さんから知らされた。自分たちよりも若くして逝ったミュージシャンの悲報に、同じクリエイターとしてその場にいた誰もがショックを受け、また、なにかシンパシーに似たものを感じていたようだった。
 そんな中、自分はというと、なるべくその話が耳に入らぬよう、少し距離を置いて隣のテーブルに移った。自分は酒が入ると感情の揺れがとても激しくなってしまうし、ここ3年で近しい人を3人も亡くしていた身としては、とても堪えられそうな話ではないと感じたからだ。

 そんなエピソードを薮下さんに伝え、さらには「自分はこの業界にいながら邦楽には疎く、フジファブリックにも明るくないから、彼らの歴史を背負うことはできないし、そもそもそんな自分でいいのか」という想いも正直に告白した。
 しかし志村くん本人が、僕がアートワークを手がけているCorneliusにプロデュースを頼みたがっていたこと、バンド全員に僕の作品を見てもらっての依頼だということ、そしてなにより、バンドとスタッフはとても前向きに取り組んでいると説明を受け、まずはお話しを、とソニーに向かうことにした。

 予想を超えて、打ち合わせはスムーズに進んだ。「志村くんの遺した楽曲を世の中に出してあげたい」というこの新作にかけるバンドやスタッフの熱い想いが直接感じ取れたということが大きいのだけど、以前どこかで耳にし、ずっと気になっていた曲がフジファブリックのものであったことが判明するなどの偶然も重なり、「ならば多面的な印象が強いフジファブリックというバンドを、現在から遡り、1本の芯を通すようなジャケットを! フジファブリックのマスターピースを!」と、全員の意見が一致して、お引き受けすることとなった。

 その「気になっていた曲」というのは、2008年に発表された3rd アルバム『TEENAGER』に収録されている、「若者のすべて」。ピアノが印象的で、淡々とフラットに歌われるヴォーカルも効果的で、曲自体、単純にいい曲だと思えるけれど、そんな分析を超えて、ともかくあのサビにグッときた。シンプルというのとはちょっと違って、なにも言っていないようで、ものすごい情感が生まれている。主語を歌わないからこそ間口も広い。ぼくはこのサビを聴いて、日本語ロックに対する考えかたを改めたぐらい。そのうちなにかが起こりそうな予感、というのを、それがフジファブリックの音楽だと知らずに感じていたのだった。
 この曲を、今回のアルバム音源といっしょに、何回聴いたことか……。きっとこれからの季節、花火を見たらそれだけで泣いてしまうだろう。

 それからは毎日、彼らのアーカイヴを自分のなかに取り込む作業が続いた。正直に言うと、歌詞を読みながら涙してしまうことがほとんどだったのだけど、過去のインタビューにはできる限り目を通したし、YouTubeにあるさまざまな番組出演もチェックした。
 でも、情報を取り込めば取り込むほど、強烈な喪失感に襲われて、ほかの仕事も手につかなくなるほどだった。
 デザインの際は「アーティスト本人とのイメージ交感」にすごく重きを置いている自分にとって、今回のようなケースは初めてのことだった。志村くんのことを知れば知るほどに、「くそぉ、逢いたいなあ」が口癖になったし、フジファブリックの5作目としての純粋な作品性と、それが結果として志村くんの遺作になってしまうことから生まれるハードルの高さ、期待の重さの狭間で、だんだんと気持ちが押しつぶされそうになっていった。

 そのときに同時進行していた別件の撮影を終えたある夕方、ぼくはこのブログの管理人であり、僕の作品集『LiGHT STUFf』を共に手がけた盟友、かつ最強の呑み友達である江森丈晃にメールをした。
「いま、撮影が終わって自分を解放したいなーと思っています」
 男ふたりの静かなサシ呑みだったが、ふとフジファブリックのジャケットのことが口をついて出た。
 なんとなく誰かに聞いてもらいたかっただけなのだけど、偶然にも江森くんは昨年、編書『音楽とことば』で、志村くんのインタビューに立ち会っていた。彼の口から語られた志村像は、とても屈託のない、音楽の大好きな青年で、無邪気な印象すら感じられた。そして彼は僕に向け、「北山さんが感じたとおりにやれば、どんな作品でも、きっと受け入れてもらえるはずですよ」と言ってくれた。

 話を聞いてもらったお礼にと、やはり二日酔いになってしまった身体に鞭打って、『音楽とことば』を買いに出かけた。志村くんのインタヴューに並んだ、若者らしい嫉妬や諦め、フラれた女性への想いなどの純粋な言葉が、なぜか自分の気持ちを少し楽にしてくれた。
 最初は、あらかじめ自らの最期を予感していたかのように聴こえる歌詞に反応し過ぎてしまい、聴くたびに涙していたアルバム音源も、そのヴァラエティのおかげで楽しんで聴けるようになってきた。とくに清々しいアコギがThe Smithsを彷彿とさせるタイトル・チューン「Music」、Puffyに楽曲提供したものの、それを後悔してしまうほど気に入っていたという「Bye Bye」は、僕のお気に入りトラックになった。
 止まっていた手も不思議と動き始め、新しいバンドの1stアルバムを作るテンションで、ロゴやマークを考え始めた。氣志團の綾小路さんに「
フジファブリックってカタカナだと全部右上がりになるんだね」と言われた話をメンバーから伝え聞き、カタカナのロゴにチャレンジしてみたくなった。歌詞においても意図的にカタカナ英語が歌われていることもあり、マッチしないわけはないと思った。
 いっぽうの欧文ロゴは、歌詞や楽曲のユニークさから、なにか錯視的なものをと考え、片側は2本の角柱、もう片側は3本の円柱というトリックアートの図形を引用することで、「F」をつくってみた。
 仕様も店頭で異彩を放つものをと、プラケースと背丈の違うボール紙スリーヴを提案。完成したロゴをステンシル版に起こし、蛍光スプレーを吹きつけた。

 しかしここまでスムーズに動いていた手が、ふたたび止まってしまう。いくらグラフィックを煮詰めてみても、肝心のアーティスト写真を撮影することができないという大きな問題にぶつかってしまったのだ。
 過去の写真はEMIからリリースされるコンピレーション作品に、ストックのほとんどが使用されてしまっていて、ならば使わない方向で勝負しましょうと言い切ってはみたものの、単なるグラフィックもののジャケットなど、今作を待ち望むファンにとっては無意味ではないか、その無意味さを押し通すのは、デザイナーのエゴではないか。そんな不安に呑まれてしまい、僕はなにかバンドの「気配」を匂わせるものを探し始めた。
 熟考の末、残された可能性は、楽器。それも志村くんのギターしかないと、ディレクターに連絡をとった。遺品を撮影することでファンをしんみりとさせるつもりなど毛頭なく、むしろ絶対的な存在感〜アルバムの象徴として必要だと説明をしたところ、ちょうどマネージメントが志村くんのギターを3本預かっているとのことで、急遽その写真を送ってもらった。
 目に飛び込んできたのはペイル・ブルーのFenderストラトキャスター。3本のなかでもとくに最近のお気に入りだったそうだ。僕はひと目見て気に入り、アートワークに飛び入りしてもらうことを決めた。
 もし志村くんの楽器のみを大きく使用することを過敏に反応されたら、と思うと気が気ではなく、プレゼンを前に薮下さんに相談の電話をしたほどだったが、いちばん大胆かと思われたこの案を、メンバー、スタッフ全員が気に入ってくれ、店頭に並ぶのが楽しみだ、とまで言ってもらえた。

 撮影の予算もあり、カメラマンにお願いできるとわかったので、プレゼンの成功に気をよくした僕は、すぐさま端裕人さんに電話をかけ、その足で事務所に向かった。
 彼はフジファブリック『CHRONICLE』のジャケット撮影を手がけたカメラマンで、その写真をすごく気に入っていた僕は、すでに別件をお願いしていて、実は『Music』のプレゼンにも、端裕人さんの作風を想定した写真案をふたつ用意し、事前に「もしアイデアが通ったら絶対に撮ってほしい」と打診しておいたのだ。事務所で話を進めるやいなや、真摯で温かい彼はすぐに快諾してくれ、アイデアまでを出してくれた。

 ギターの撮影は、乃木坂にあるソニーの会議室で行われた。あえて照明を立てず、窓からの柔らかな自然光のみの、とても穏やかな時間だった。
 僕は無事チェックを通過したラフを見てもらい、「単なるブツ撮りではなく、ギターをアートピースと見立て、クローズアップで大胆に切り取ってほしい」とだけ伝え、そのほかのいっさいを彼に任せた。ともすれば退屈であるかもしれない撮影を、彼はすごく楽しんでいるように見えた。撮影中、地下のソニー・スタジオでレコーディングしていたキーボードのダイスケくんが覗きにきたり、取材の前にギターのソウくんが立ち寄ってくれ、端さんとの再会を喜んでいた。
 頃合いを見計らって、「もしそうしたければ、御自身の作品用にも撮られたらどうですか?」と声をかけると、彼はニコッとして、その後もしばらくシャッターの音を響かせていた。
 端さんは、「もう充分撮れたと思います」と撮影を終えると、すごく大事そうに、とても丁寧に、自分でギターをケースに戻した。

 撮影の合間には、マネージャーの大森さんから、「志村くんのギターを使ってもらって個人的にすごくうれしかった」と言ってもらえた。僕は彼女に、「どんな些細なことでもいいから、志村くんのジャケットに対する考えや理想を教えて欲しい」とお願いし──今思うとそれも酷なお願いだったかもしれないが──彼女は僕に、「クラスの子と貸し借りするときに、ちょっと自慢できるようなお洒落なジャケットがいい、と話していました」と伝えてくれた。そのエピソードは微笑ましく、とても愛嬌があって、緊張していた僕の心を和らげてくれた。
 自然光のみの部屋だったし、暗くてはっきり見えたわけではないけど、「うれしかった」と言ったとき、彼女は少し泣いているように見えた。
「マスターピースを!」というプレッシャーのなか、ずっと悩みに悩んで、気を張ったまま進めてきたけれど、おそらくいちばん間近で志村くんを支えてきた大森さんの、そんな笑顔を見たとき、ようやくこの仕事を受けてよかったと報われた気がした。なんともいえない温かな気持ちになれたことを憶えている。

 今であれば、僕は志村くんに会っていなかったからこそ、フィニッシュできた仕事だとも思えるようになった。
 過去にいちどでも仕事をしていたら、きっと辛くてデザインなんか無理だったろうな。

 あれからひと月以上が経ち、すっかり意気投合した端さんと、打ち合わせを兼ねて呑んでいたときのこと。ふいに端さんが、あの撮影のことを話し始めた。
「撮影が終わって、ギターをケースにしまうとき、思い余って泣きそうになった」
 それを聞いて、すでに酔い始めていた僕も、思い余って泣きそうになった。

2010/7/28
グラフィック・デザイナー 北山雅和(Help!)












2010.07.21 / 告知:レコード屋はじめます。


 出張買い取りにきてくれるはずのレコード屋さんの都合がつかなくなったことで、妙案がひとつ。

 引越しを済ませ、今月末にはがらんどうになる我が旧居にて、8月の前半、アポイントメント制のレコード屋をやります。たいしたものはないかもしれませんが、私のゴミは貴方の宝? 来店希望の方は
こちらまで御予約を。ジャズの安価な国内盤、ギターポップの7インチやSSW系、90年代前半のR&Bは相当な数が出ると思います。オールジャンル聴く人はぜひどうぞ。渋谷から20分ぐらいの場所です。

 レコード屋で働いたことはあるけれど、経営は未経験。これでひとつ夢が叶うなぁ……。

 写真はたった今聴いているもの。Strictly RockersのChapter 32。鳥ジャケの『Live Mixed in Altered States』もよかったShhhhhというDJのミックス。MADだけれど品もあり、とても好み。民族音楽から多数チョイスされているものの、オープンエアーな感じがまったくしないのが不気味。
 たぶんその不気味さが、品。


















2010.07.19

NAS / Illmatic〜10 Year Anniversary Illmatic Platinum Series

Diamond & Psychotic Neurotics / Stunts Blunts & Hip Hop
Group Home / Livin Proof
Main Source / Breaking Atoms


 現在同時進行中のCDジャケ2枚は、昔からの手癖と蓄積で乗り切れる構築系と、先に表1の絵が描けてしまい、それが好評であったためスムースに進んでいる先天系の2種であり、もし、まったくの0から100%NOWなモノを求められる仕事が入ったらヤバかったかも……というほどに、新しいレコードを買えていないここ数週間。
 理由は目前に迫った引越し。ここにきてモノを増やしてたまるものかという気持ちの中、前回の引越しで学んだ、「いらないものを捨てるのではなく、いるものだけを箱に詰める」というアプローチで、毎日まいにち(平均2時間ぐらいのペースで)レコードやCDを整理しています。

 インプットの量や質に関係なく、体内からユラユラと創作意欲であったりインスピレーションが湧き出る、もしくは湧き出ているように見られている人のことを、自分は心から尊敬する。
 いいなぁ、という子供みたいな憧れの奥には、辣腕デイトレーダーのような猜疑心もあったりするのですが、基本はそれも、「心から」の範疇に入るもの。
 自分は自分にできないことにしか心を動かされないのだと思う。

 Spinettaの『Silver Sorgo』を初めて聴いたときに(10年は経っていないはず)、アルゼンチンの音楽ばかりを買い求めたのも、今、クラシックばかりを聴いているのも、すべては「自分にはできない」ものが聴こえてくるから(もちろんジャズだってラップだって自分にはできないが、構造や仕組みは見えている)。

 その意味、自分で音楽をやらないのであれば、ここまで大量の音楽はいらなかったのかもしれない、なんてことを思う。
 機会があれば、音楽を仕事にしていない人に、そういうことを聞いてみたい。DJをしたこともなければ、ギターを触ったこともなく、ただひたすらの好きが高じて、日々膨大な音楽を消費し、依存している人。度を超えた音楽好きであるにも関わらず、オーディオ・マニアやライターではない人に話を聞いてみたい。
「なぜそんなに聴くのですか?」と。

 ……とか書きつつ、今日は『Illmatic』の10周年エディションをずっとリピートしていた。
 やはりなにも買う気になれ
なかった南武線・武蔵小杉駅のレコード屋さん(10分で終わる野暮用のために武蔵小杉というのがシャクで、事前に調べておいたお店。HIPHOPとR&Bがメインで、G-RAPに力を入れていた。試聴フリー/ダーティなクレイツ/在庫の半分は服/ローカルなMIX CDの宝庫、という、なんだかアメリカで掘っている気分にさせてくれるイイ雰囲気で、入り口でお香とライターを売っているのも、いかにも。7インチの箱になぜかEven As We Speak [Sarah 59]を発見。超場違いだったのでそれのみ救出。¥300)からの好影響で引っぱり出したもの。
 嫌いなトラックが1曲もない、奇跡的名作。リマスタリングの音質も中庸で好み。自分の中では、これと『Stunts Blunts & Hip Hop』と『Livin Proof』の3枚が並んだワンシーンがある感じ。それを撮影しているのが『Breaking Atoms』な感じ。

 で、『Illmatic』はオリジナルが出た当時も聴きまくったし、このCDを頂いたときも驚喜したので、もしやここで紹介するのは2回目でないかと思い、Spotlightで「Illmatic」と検索したみたら、4年前のこんな日記が出てきた。

↓↓↓

2006.07.09 / Cassidy「B-Boy Stance」
 あ! Nippsのラップにソックリ! と気づいてからもう夢中のこの曲。本当に似てる。試しに「犬、大好き」という日本語ラップ史上最強のパンチラインが登場するDeli「Pass Da Popcorn」の飛葉飛火と聴き比べてみる。いや、本当に似てるわ。子音のタイトさ。うねる母音の伸縮性。すべての単語がCompany Flow「End To End Burners」PVのグラフィティ並みにズバズバと刺さってくる。理屈なく快感。Swizz Beatsのトラックも渋い。
 ときに、「音楽における声は、楽器よりも楽器」と言われますが、ヒップホップ=声の音楽であれば、それはなおさら。どんなにリリックの内容が高尚であろうが、社会的に重要であろうが、やっぱり「音色」がカッコよくない限りは伝わらない。音楽的にはグッとこない。その点、Nipps〜Illmatic Buddha MC’sの3人は、残酷なまでに「音楽」だったし、スチャダラパーBoseのビット演算的グルーヴ・クオンタイズも気持ちいいし、グルーヴうんぬんの前にゴツゴツとした火山岩的ブロックコードをブツけられているようなECDの声も大好き。ほかにも好きなラッパーはいるけれど、嫌いな奴はその10倍……じゃききません。
 ヴォーカリストの世界なら、声の悪い人は歌わない。ラッパーもいっしょだということに気づいていない人が多すぎるよね。

「B-Boy Stance」はプロモなので写真には最近の超傑作トラックを。Kid Sundance & Dudley Perkinsの「The Godfather Ep」。A2「Peace(Yes)」のむちゃくちゃ近い音像の口笛がたまらなく夏。たまらなく夏の午後。冷蔵庫のヒューガルデンに手が伸びます。

↑↑↑

「ラッパーもいっしょだということに気づいていない人が多すぎる」。というのは4年後の今日も同じですね。

 そして悲しいことに、CassidyもKid Sundanceも、もうウチにはいないのでした。












2010.06.25

Perfume Genius / Learning


 いまもっとも期待している新譜。Transparentからの7インチ「Mr Petersen」1枚で終わって欲しかった気もしつつ、この謎ジャケの期待には抗えない。「Mr Petersen」撮影時アザーのプリントに、マジックで情報を書いた布切れを貼りつけ、ヴィニールを被せて撮影。テカりの曲線や、水滴のドットがそのままデザインになっていて、その見えすぎる手作業から、バンドが実際に“いる”ことが伝わる。(※)

 ただ、この人の場合、アルバムの音に関しては、どれだけ“いない”かにかかっている気がする。
 こういう耽美派は、自分のことが好きすぎると、ロクなことにならない。たかがピアノごときで自分という人間を歌い切ろうなどという壮大な錯覚劇場につきあわされるよりは、ナルシズムやペシミズムはもちろんのこと、あらゆる喜怒哀楽の壊死した、力なく真っ白な“BGM”を切望したいところです。

※)先日、Coa Graphics藤枝さんと対談させてもらった際、「広告代理店あがりのデザイナーの仕事にはピンとこない」という話が出たのだけど、自分にはその意味がよくわからなかった。ただ、このジャケを目の前にすると、とてもよく理解できる。要はそれも、どれだけアーティストやバンドが“いる”のか、ということだと思う。音楽のパッケージぐらい、造られた広告であってはならない、ということを話されていたのでしょう。














2010.06.23

浜田淳 / ジョニー・B・グッジョブ〜音楽を仕事にする人々
Young Calvi / Song For Summer


 告知2本です。

1)
 仕事をしているのを見ると、なんだかそれだけで「やってるなぁ」と安心させてくれる同世代の同業者=浜田淳くんの最新刊『ジョニー・B・グッジョブ〜音楽を仕事にする人々』が、そろそろ発売になります。自分も「yoga'n'antsみたいな盤がなぜに個人資本で?」というテーマで取材を受けていますが、そんなものは副菜も副菜。やはりメインは浜田くん自身が喋る側に回った、「RAW LIFEのつくりかた」でしょうか。
 自分も読むのが楽しみな本です。ぜひご予約を。


2)
「向こう半年はノーギャラで撮ります」の声に誘われたブタいっぴき。しかし実のところはブタと言えるほどはよく知らない若手DJ=Young Calviによる、新しいMIX音源『Song For Summer』 のための撮影を担当しました。
 魚肉ソーセージと血糊を使用したリアル歯周病大惨事+クリスタル分泌液のジャケットと、一転、爽やかに夏色なボーナス・ブタマイド7枚のヴィジュアルパックです。
 ちなみにYoung Calviは、撮影のわずか4日前、「MIX CDのイメージ画像ぐらい他人さまの迷惑かけずに自分で作りたいなと思う今日この頃」というツイットを残していて、しかも自分は、それに頷き、リツイートしています。
 諦めが早いというか、言葉の軽さが水素クラス、というか、ともかくは、全身全霊で呆れました。
 そんな彼のmp3、ぜひダウンロードを。
 ヒヅメでMIXしたとは思えないブッコミ感が
爽快です。 












2010.06.17

Stephen John Kalinich / A World Of Peace Must Come


 新宿LoftまでMOSTのライヴを観にゆき、山本精一さんに取材の直談判。
 最後の曲で、ポーンと客席に投げられたサングラスを拾ったラッキーな男性にお願いし、自分の眼鏡の上からそれをかけてゆくことで緊張を和らげつつ、楽屋まで御挨拶にゆくと、「ライヴの後のこの雰囲気が嫌いなんや」と立ち上がる山本さん。どこもかしこも灰色な非常階段にて企画の説明。その間、サングラスにはまったく気づいてもらえなかったものの、オファーにはよいお返事を頂け、京都の御自宅にお邪魔できることになりそうなのだけど、それはそれで、さらにヘヴィな緊張が生まれてしまった。
 アイドルの実物は身体に悪い、という話です。

 そのせいか、帰宅後、ものすごい高熱が出た。
 全身の関節がキシキシと痛むので、横になるのも大変。不快な汗をドロドロとかくので、クーラーをつけるが、今度は寒いので、窓を開けつつクーラーも全開にする、というエコ役人と真っ向勝負の心地よさを発見しつつ、たまに訪れる極度の寒気に奥歯を食いしばっていたら、内蔵がつった。
 今も眠れず、かといって仕事をするわけにもいかない(たくさんの原稿を頂いているのですが、半端な返事では逆に申しわけなく、保留にさせてもらっています。関係者のみなさまスミマセン……)ので、こうして責任のない文章を書いています。




















2010.06.11

Rob Walmart / Everybody Hurts
Seaworthy / 1897
Keith Rowe / The Room
Niobe / White Hats
Mayfair Set / Already Warm


 最近あったことを箇条書き。といっても、ずっと仕事をしているのだけど。

写真のような傑作たちと延々格闘しながら執筆/編集中のディスクガイド。もう少しすると台割が固まって「あとはやるだけ」の状態になると思うのだけど、今はまだ胃が痛い。ブラックジャックがピノコを造ったように、船頭さんの頭部、四肢、内蔵などを五体満足にまで繋ぎあわせて、その人に牽引してもらえようにするまでが大仕事(そんな中、勇気づけられるのは、数々の玉稿。執筆者のみなさまには心から感謝です)。
 いっぽう心配していた撮影は、順調そのもの。照明の知識がゼロなので、スタジオ撮影やブツ撮りはまだできませんが、感覚的なものは、だいぶ頭にあるものに近いものが撮れるようになってきた。
 きのうは取材の空き時間に、広角レンズを試しにいったが、気に入ったものは20万ぐらいした。「高っ! そんなんデザインでなんとかするわ!」と心で叫んで帰宅。それもこれも、"ひとり編プロ"だから許される、甘えなのだけど。

ダンボールの底から、シティ・ボーイズ 『夏への無意識』 パンフを発見。
 きたろうがペンギンに、ペンギンがアリクイに、アリクイが大竹まことへとモーフィングする、それでいてメロウなC.T.P.P仕事。栞がわりに挟まれていたチケットの半券には、
「invitation」のスタンプ。99年当時、ただのバイト編集者だった自分を毎年まいとし招待してくれ、ときにとんでもなくレアなレコードをプレゼントしてくれ、美味しいごはんを御馳走してくれたヘヴィBurt Bacharachコレクター、坂口修さんへの感謝は一生忘れない。変わらずお元気でしょうか。(私信)

神保町のギャラリー「路地と人」まで、小田島等くんの個展最終日に出かけた帰り、半蔵門線の車内でのこと。
 自分しか座っていない4人がけ席があり、外苑前から乗ってきたアメリカ人のお父さんとその子供3人に席を譲ったら、座って10秒ぐらいで全員が寝てしまい、いったいどう遊んだらそんなんなるのかと、すごく羨ましかった。
 小田島くんのようなアーティストの作品を見るには、それなりの頭脳労働が必要なので、そのフィジカルさに(またも)思案させられるものがあったのだ。

翌日はその小田島くんのインタヴュー。住んでいる駅がいっしょなので、地元の喫茶店で、昼食前のコーヒー。丁寧に温められたカップと冷房。終始絶えない笑い。テープ起こし始めて2時間後、なんのストレスもなく原稿が書き上がっていた。翌日、5000字のものを3500字にまで削って入稿。泣く泣く外した話題もあるにはあるが、我ながら、本質の部分に突っ込めたものになったと思う。
 これはもうすぐスタートする、日英バイリンガル・アートwebの新勢力、Cat's foreheadのための原稿(来週月曜日には、デザイナー江森もCoa Graphics藤枝さんとの対談記事に参加します)。

9月発売のCDジャケに、何度かのラフ出し。資料やフライヤーを含むヴィジュアル全般をまとめて受けたので、そのトータリティにも気を配りたいところなのだけど、ジャケット表1が決まらないうちから入稿しなくてはいけないデザインもあり、悩ましい。
 Now Printingの文字を置くとき、いつも負けた気になるのだ。

政治には呆れ果てた。
 そこここで暴動が起きて、バタバタと人が死ぬが、警官も救急車も片付けにこない、みたいな未来がくることを知っている、できれば原哲夫先生に描かせたい親玉たち(もちろん総理ではない)による、そんな未来に気づかせないまま少しでも国民の労働を維持させるための長い長い時間稼ぎであり、より深刻な問題を、たかが「辞任」のような「人間関係」の問題に注視させることで見えなくさせているのが今の政治だとすれば、「◯◯劇場」というコピーは年鑑クラス。
 チケット代は不可視ながら、非常に高い。












2010.05.25

曽我部恵一 / 曽我部恵一


 きのうは曽我部くんの取材があった。インタヴューの進行と撮影が自分。インタヴュアー/ライターを小説家の桜井鈴茂くんにお願いし、仕事ながら、とてもリラックスした時間を過ごせました。よいページに磨き抜くことで、感謝の意を表したいと思っています。
 ちなみに自分の曽我部くんベスト3は、「ほし」「愛のかけら」「ギター」……かな?
 ジャケは『曽我部恵一』が好きです。いい光。いい波。そして、いい無防備。

 そんなカメラマンの江森ですが、実はきのうの撮影こそが初仕事でありました。
 もちろんいままでもちょくちょく撮っていたけれど、それはあくまで加工を前提の素材撮り。だから、とても緊張していた。しかし、快晴の皇居で写真教室を開催してくれた師匠・高橋希の言葉、「数字に悩む前に撮ってみりゃいいじゃん。デジはタダなんだから」を胸に臨んだら、いや……これはバッチリの仕上りではないかと!

 ……というわけで、いまはひとつでも多くの現場をこなしてみたい気持ち。楽しくてしかたがない。学祭バンドの未来のアー写でも、結婚式の三次会でも、なにかあれば使ってください。仕上りは博打になりますが、もちろん交通費以上は受け取りませんので(本気です)。

 取材後はCity Country Cityに移動して、ハートランドを4本。その後で日本酒と酔い覚ましの生レモンサワー。帰りの電車で写真のチェックをして、やはり神経が尖っていたのか、帰宅後は10分で眠ってしまった。












2010.05.23

Limonious / House Of Usher
小田島等 / ANONYMOUS POP


 LimoniousはZEROで買ったSkweee(スクウィー/北欧発祥の寒々しいダンスミュージック。音の隙間に可能性を感じるダブステップ+チップチューンのMixed Up的音楽で、Flora & FaunaFlogsta Danshallというふたつのレーベルが局地的に展開してきたもの)。この時期には少し重いかと思い、素晴らしくアノニマスなアートワークだけを眺めていたのだけど、いざ聴いてみれば、春風すら感じる音作りでたまらない。肉体性の希薄さこそが身体にしっくりくるという、なんとも不思議な音楽。

 で、アノニマスといえばこれを置いてほかにない、デザイナー/イラストレーター小田島等の初作品集『Anonymous Pop』。デザイン書籍をパラパラやるときの、いわば空白の無痛空間にさえ、薄桃色のミミズ腫れを残してくれる、衝撃の傑作選。信念がなければ入稿すらためらってしまうほどの度を超えた没個性が、超高速の二度見を誘発する、正真正銘の天才仕事。
 隙なくカッコいいものもデザインだけど、枕元の明かりを消す前に、まぶたの残像にこびりついて消えず、あれはなんだったんだ……と暗い天井を旋回してしまうようなものは、もっとデザインだと思います。
 来週インタヴューします。










2010.05.22

Trey Anastasio / Trey Anastasio


 前回の錯乱日記から、近況変わらず。引き続き、本を作っております。
 同時にCDも1枚やっていますが、ついに6月には1枚も入っていない。自分は正方形のデザインが本当に好きなので、パッケージの滅亡までに、1枚でも多くやっておきたいのだけど、ここ最近は仕事がくるたびに、「これが最後かもなぁ」と思うようになっていて、寂しい。きのうバッタリ会った同業デザイナー(自分と同世代だがキャリアも知名度も彼のほうがある)に訊いたら、やはりどこも同じような状況らしく、パタリと仕事が途絶えたらしい。「配信用のジャケ(というかアイコン)の仕事はしたことある?」との質問には、「◯○ン○○◯ズ(かなり有名なバンド)のを頼まれてやったけど、ギャラは¥5000だったよ」という衝撃の解答。うーん。

 そんな向かい風に、頭がからっぽになるデザインをひとつ。古屋蔵人くんが伊藤ガビン氏とスタートさせた、オンデマンドTeeシャツ・サーヴィス=Tee Partyに参加しました。
 題してGrave Digger'sプロジェクト。HDの整理がてら、供養が必要なデザインや、当時出てればよかったTeeシャツをアップしていきます。
 第一弾(これ)は去年の入稿データから、『Pits Are The Pits』を蘇生。CD入稿時はそこだけに35万もかかって申し訳なかった発砲インク印刷のハンバーガーを(ばっかり食いの人たち用に)細かくバラしています。もっともっと野菜やパティを増やして、長い長いデザインのワンピースとか作ったらカワイイだろうなぁ、と思いますが、そういうカワイイ子には、あの音楽は聴いていて欲しくない、というのが微妙なところではあります。

 写真はPhishのヴォーカリストのソロ・アルバム。……ということを思い出せずに、最高の雨ジャケとしてジャケ買いしたものなのだけど、1曲、「At The Gazebo」という最高に好みのネオ・アメリカーナ(ってまだ言う?)チューンが収録されていました。
















2010.05.15

Nice Face / Immer Etwas
Robert Wyatt / Short Break
The Wake / Crush The Flowers
ゑでぃまぁこん / かおがある
Tomutonttu / Tomutonttu


 TwitterはBloggerを殺す。

 が、ここの更新が滞っている理由はそれだけではなく、毎日、ものすごい量の原稿を書いているから。

 晩夏に出すべくディスクガイドを制作しているので、選んでは聴いてはレビュー。選んでは聴いてはレビューの繰り返し。思いつく限りのライターさんにも声をかけているのだけど、電話口や喫茶店で、その人の声を聴いていると、それまでグーグーと眠っていた記憶から、たとえばOlaf Ittenbachの映画における臓物のようにズルズルと引き出される音楽というのがあって、しかし当然にそんな(忘れていたような)盤がポンポンと出るような棚とは暮らしていないので、かなり奥までひっくり返すことになるのだけど、するとまた予期せぬ盤が見つかり、しかし実はその盤こそが、今回の「お題」にピッタリだったりして、終わりが見えない。
 
 で、この「お題」というのが、我ながら、かなり難しくて。
 
 たとえばジャンルやお国柄で縦割りにしたディスクガイドというのは、『シューゲイザー・ディスクガイド』とか『ガレージパンク・ディスクガイド』みたいなものも出ていて、たぶんどちらもすごく直下型に掘り下げている内容だと思うので、自分のは、もう少し広がり……じゃないな……なんだろ、縦割りではなく、選盤の篩(ふるい)の網の目にカタチにこだわった感じの編集になっていて……う〜ん違うな……たとえば、目当ての映画やバンドを観にいくのではなくて、映画館やライヴハウスに出向いてから、今日はなにがあるのかを知る感じ………というか、30年ぶりの同窓会に出向くんだけど、そのクラスは昔、深刻な食中毒が出たクラスで、実質100日ぐらいしか同窓の友ではなかったので、お互いが遠慮がちに、「あ、あなたもですか?」「えぇ、もしやあなたも?」と遠慮しあっている状態のレコードやCDたちの本というか………。
 だから、たとえば前述『シューゲイザー』みたいな本であれば、床にレコードを並べて、「ハイ、お前とお前こっちこい」みたいな感じで選べると思うのだけど、決してそういうものでもないので、書く前に「お前は本当にお前なのか? なんか隠してないか?」という問いかけが必要で……

 ……ってすみません。書けば書くだけどんどんとわかりにくく、ひと昔前によく読めたブログの文体になっているのでもうやめますが、ともかくは、そうやってレコード棚に向かい、テーマとレコードの養子縁組を進めてゆく、というのが、すごく楽しいわけです。
 
(写真はそこでも紹介する作品。勘のいい人は、これらの共通項を探すことで、「お題」がわかるでしょうか?)
 
 お楽しみに。



期間限定のレコードショップ、オープンしております。詳しくは8/14の日記を御覧いただき、こちらまで予約をお願いいたします。「ここ日本じゃない!」と好評です。




管理者プロフィール:
江森丈晃(Takeaki Emori)
グラフィック・デザイナー/ミュージシャン/ライター/編集者(順不同・日替わり)

ソニーマガジンズ〜宝島社での丁稚時代を経て、98年、デザイン事務所 "TONE TWILIGHT(トーン・トワイライト)"をスタート。
CDジャケット、アパレル、エディトリアル、編集業を含む装丁、少々のwebなどを手がけ現在に至る。
また、90年代初頭から中盤まで活動していた"CITRUS"というバンドのメンバーでもあったため、リミックスや楽曲提供など、ミュージシャンとしても活動。2007年末にキャリア初のフル・アルバムとなるyoga'n'ants『Bethlehem, We are on our own』を発表。ロング・セールスを更新中。事務所と同名のインディペンデント・レーベルの代表でもある1972年11月14日生まれ。健康な男性。

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