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2008.05.08
/ 小西康陽『ぼくは散歩と雑学が好きだった。小西康陽のコラム1993-2008』AMAZON
本日アップで、小西さんのページに江森のエッセイ(か?)が掲載されています。このページとmixiに書いた文章に大量加筆したものですが、せっかく書いたので、ぜひ閲覧数アップに御協力ください。
それにしても、最近は「自由に」という発注に困ることが多くなったと思う。少し前までは書きたいこと、言いたいことが溢れていたように思うのだけど。
さて、ピチカート・ファイヴ。いまもよく聴くアルバムは、『さえらジャポン』。シングルは「大都会交響楽」です。活動歴〜ディスコグラフィの長いグループにも関わらず、好きなものが後期にまとまっている(と思える)のは、初期や中期もまんべんなく充実、の証。あと、その時期の小西さん仕事では『Je
m'appelle MONSEIUR〜我が名はムッシュ』も忘れられない。通して聴き終えたときのえもいわれぬ充実感。甘みと苦み。何度もそれを味わいたくて、何度も何度も聴き返しました。
そんな小西さんから、yoga'n'antsに労いのお言葉。
「古書店の奥の陳列ケースの中の小さな美しい本、のような」と紹介して頂きました。
これ、死んだ友達に自慢したかったなぁ。
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※紫外線を吸収して暗闇で光るアレです。古くは骨格がデザインされた全身タイツ。最近はリモコンのボタンにも使われています。
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2008.05.07
/ Drowsy『Growing Green』AMAZON
CDジャケの打ち合せとプレゼン。すべてのパーツの紙指定までが終わり、ひと安心。いくつかのコストダウン案とともに、もし予算が許せば、と恐る恐る提案してみた、キロあたり10万とも12万円いわれる蓄光塗料の使用(※)。これが叶うと最高なんだけど。
写真は某店で大量買いした中古盤CDのうちの1枚。これが、Fat
Cat産でこのボールペン・ジャケ……という小粒感を大きく超える無人島級ディスクで大当たり。ザックリと温かな宅録に、ギターであれピアノであれ「爪弾いて」しまう、救い難いまでのブルー。
メロディは控えめなれど砂金のように美しく、そこに甘いロリータ・ヴォイス……ではなく、Richard
ThompsonやRobert
Wyatt、Ian
McDonaldの意匠を完璧に受け継いだ、そして若干舞台俳優的な語り口を持ちあわせた、弱くて脆いしゃがれ声が乗る。
まず、ピアノの弾き語りに口笛の「Plim Plom Autumn Song」が泡吹いてブッ倒れるぐらいのベスト・トラック。雪の日の夜、散歩しながら聴いたら……と想像するだけで恐ろしい。
「Yellow Leaves & White Trees」「Growing Green」「Home Hits」なども前述アーティストが好きであれば卒倒級の名曲ですが、今後まだまだ好きになれる曲がゴロゴロとある印象のモンスター・アルバム。それも、か弱いモンスター・アルバム、ってのが最高だった。
さっきAMAZONで調べたら、2006年にタイトルからして「らしい」2枚目が出ている。すぐに聴きたいけれど、こっちもジャケが微妙。微妙なところを狙ってハズした微妙なんだよな……。
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2008.05.06
/ Gonzales『Soft Power』AMAZON
このジャケからして名盤の風格、つまりは、その場では完全に受け入れられない新時代の切り開きを感じさせる新作。ブックレットは78年グラミー・アワードのテキスト・データからスタートし、白濁する海の写真とA写が交互にくるという、言葉通りのイメージの洪水で、聴く前から心撃ち抜かれていたのだけど、今日、ようやく音のほうも聴きました。実際の収録時間も短く、更には突出したポップ・チューンがないお陰で、何度も何度も何度も繰り返し楽しめる、うっかりヘヴィ・デューティな小曲集、といった印象。これは『Rendez-Vous』好きも『Solo
Piano』のファンも受け入れやすい展開でしょう。
また、「Theme From In-Between」や「Modalisa」に聴けるアクト・ナチュラリーなクラシカル・エレガンスの注入は、自分がいま作ろうとしている音楽=yoga'n'antsの新譜に非常に近い。また、「Apology」はRufus
Wainwright、もしくは後期Elvis
Costelloのレパートリーのようで、Faist参加のライト・ディスコ・チューン「Let's
Ride」だけが、アーミー・ジャケットにつけられた真珠のブローチのように輝いて(というか浮いて)聴こえます。
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2008.05.05
Hanayo『Magma』AMAZON
Mike Kelly『Day Is Done』AMAZON
かつてのブルボン(ルマンドほか)や明治製菓(チェルシーほか)にも通じるクラシカルなスウィートネス〜少女趣味と、TaschenやPhaidonのそれを軽く超えた匿名性の更なる漂白/漂流をドンズバのソフトコア・センスでディレクションして見せたYoung
and Robot(石黒景太+工藤キキ)の装丁もスバらしい花代の最新作。最近見た写真集のなかでは、間違いなくベスト……どころか、近年見た……としても、これはベストかもしれない。全92頁に渡り、写真にできること、また、写真の並べかたで語れることの可能性のすべてが、美しく、儚げに、朧げに、獰猛にアップデートされています……
……と興奮して書いていたら、ピンポーンとAMAZONから届いたMike Kellyの最新刊に、少し涙ぐんでしまう。『Magma』で充分に緩まされていた涙腺が、ここにきて決壊。自分の文章力では多くを語れませんが、こちらもまた、アートという活動によって動かせる種類の感情すべてにコネクトしてくる、膨大にして嘘偽りのない、全力の表現。
表紙を見て、まず笑う(笑いの感情はお笑いだけから引き起こされるものではない、というのは言うまでもなし)という部分でもこの二冊は似ていますが、床に並べて眺めると、紙とインクの芸術は、ここまできている。ここまできているのだから、まだまだできることはあるはず、みたいなロマンを想えます。
AMAZONからいっしょに届いたのが、娘へのギフト『国旗のえほん』でよかった。ほかの写真集や作品集でなくてよかった。もしなにか、なにかしらのアートを標榜するものがここに並んだら、それは間違いなく、真っ白に霞んでしまったはず。
さて、明日もラフ出しと打ち合せ。プリントの合間のぼんやりに、いっしょに届いたもう一冊、『酒とつまみ』でも読むとするか……(巻頭企画は「山手線一周ガード下酩酊マラソン」だ!)。
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※AMAZONリンクはCDです。もちろんCDの音が悪いというわけではなく、日本最高峰のエンジニアリングが施された大傑作なのですが、アナログであれば、それはより増幅され、演奏の意図も受け取りやすくなる……という話です。移動中に回数を聴いてより好きになれるのであれば、iPODでも全然いいと思います。そもそも音楽ってそういうもの。音質なんかじゃ好きにはなりません。 |
2008.05.02
/ Yura Yura Teikoku『Hollow Me』AMAZON
今日も病院。もう痛みはないので、GWに旅行に出かけると嘘をつき2週間ぶんの薬をまとめて貰う。『週刊宝石』と『アエラ』しか男性誌(?)がないロビーに30分も待たされるのは、無駄以外のなにものでもない。
それに比べれば、以前通っていた歯医者には、ふだんは買わないながらも読めばそれなりにおもしろい『GQ Japan』や『羅針』などが置いてあり、そのどちらかに掲載されていた、イギリスの葉巻マニアの話などは最高によかった。
弁護士リタイア後、不動産投資で食べているイギリス人の富豪独身貴族が、齢50にして葉巻の魅力に取り憑かれ、僅か数年で自宅の地下室に時価数億円ぶんのヴィンテージ・シガーを溜め込むまでになり、それだけでは飽きたらず、当時のポスターやカタログまでをコレクトし、ついにはキューバに飛び、山奥に隠居してしまったという伝説の職人を見つけ出し、材料を用意し、自分のためだけに当時の一級銘柄を「再発」してもらうくだりなどは、レコード・ハンティングのそれにも似ている、なんてことを思い、世界の広さ、趣味の奥深さに、視野が開けたような気がしたものだ(←錯覚)。
あぁ、それにしても右耳が聴こえない。
しかし、そんな耳にも、ゆらゆら帝国の2枚組アナログ盤の音が最高にリッチ、というのはわかる。CDも頂いていたので音量をあわせ同時に再生し、アンプのセレクターをスイッチすることで聴き比べてみたのだけど、こうまで違うものかと驚かされました。「アナログのほうが音がいい」というのは、音楽制作に関わっている人のクリシェのようなもので、実際のところはアナログなんてほとんど触ったことのない、CDで聴く「アナログっぽい音源」が好きなだけの人間にも常識として通っているぐらいのことなのだから、20年以上も塩ビ盤を買い続けている自分のこの実験は、たとえ片耳だろうが信じてもらっていいと思う。
冒頭「おはようまだやろう」の、小さじいっぱいぶんのファズがかかったギターの音からして、ちょっと尋常じゃないささくれかた。すべてのスリー・ピース・ロック・バンドが黄金とすべき濃厚な(楽器の)絡みと、存在感のある休符が、今日もビリビリと床を鳴らしています。
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2008.04.30
Mari Boine vs Mungolian Jetset「It Ain't Necessarily Evil」
Windsurf「EP」
ある人には刺激的で、自分のような保守派には少し水っぽいだけであったクラブ・サウンドとのミクスチャーが数年前に話題となった、サーメ語をノン・ヴィヴラートで歌うノルウェー人シンガーMari
Boineと、ストレンジ、の要点や効能、遠心力を毎日更新の天才Mungolian
Jetsetの、出るべくして出たタッグ作(いちおうふたりはレーベル・メイト)。Gabor
Szaboを塩酸で薄めたような疑似エスノ感〜地下帝国観にハメられる本作ですが、アートワークの磁場もハンパない。2008年4月度のジャケ大賞は文句なしにコイツでしょう。目が合うたびにたまらない気持ちになります。
ノルウェー産といえば、Windsurfの新しいのが、ゆらゆら帝国の新譜にも通じてしまうトレモロ感を持った究極のリゾート・アフターディナー・ミュージックでナイス。こっちもジャケが寒々しくて最高(によくわからない)。
このInternasjonalというレーベルは、今度Full Puppのシングル・コンピも出るらしいPrins
Thomasのレーベルらしいのだけど、自分は001番を買い逃している。そっちも聴いてみたいなぁ。
Cafe Apres-midiの本、『公園通りみぎひだり』か『公園通りの午後』のどちらかにyoga'n'antsが紹介されているそうです。ありがとうございます。
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2008.04.29
/ Don Cherry『"Mu" First Part.』AMAZON
失敗できない取材のための助走日記。
質問状は完璧か? また、それをいったん忘れることはできているか?
CDは聴き込んだか? また、1枚のCDメディアではなく、ミュージシャンの意図や世界観までを聴けているか?
待ち合わせ場所は大丈夫か? 同じ名前の駅が、まったく別の場所にあったりはしないか?
たぶん、全部OK。オール・クリア。絶対にいい話が採れるはず。
……と準備していてもうっかり真っ白になってしまうのが、インタヴューというもの。今日のは編集として同席するので気は楽なのですが、情報誌のそれのように、隣りでぼんやりと傍観しているわけにはいかない。出来る限りに「効果的な邪魔」を入れなくてはいけない。
破綻なく、話の組み立てや、文章の巧さだけがあとに残る記事。いま作ろうとしている本には、それがいちばん恐い。
NOW PLAYINGは我が家の定番Don Cherry。人の話を訊く前に、声の入った音楽など聴いてなるものか。
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2008.04.28
/ Fleetwood Mac『Shrine 69』AMAZON
今日も朝から病院。編集者として何本か同席しなくてはならないインタヴュー仕事のことを思い、「仕事に支障がある」と相談するも、「鼓膜を切開し、その奥のバイキンを吸い出すこともできますよ」と返され、恐いのでやめた。薬で散らせば10日ほどで完治するというし、人の話を聴くときは、右を向き、左耳を向ければいいだけの話。シルエット的には相当にダメな感じがするが、理由を話せば失礼ではないだろう。笑われるとは思うけど。
いまは編集仕事の休憩にFleetwood Macのライヴ盤を聴いています。Kohncke/Heimermannがリコンストラクトし、KLF『Chill
Out』にも使われた「あほうどり」から、とても少ない音数で演奏される「Before The Beginning」への流れが最高。のちの特大ヒットの片鱗を感じさせ……ることのない、力の抜け、トロみのあるホワイト・ブルースが、これでもかと聴き流せます。
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2008.04.26
/ V.A.『Classic Mellow Mastercuts Vol.1』
悪い体調。聴こえづらい耳。熱に浮かされながら、いくつかの新案をアイデア帳に書き殴る。
ジャケ仕事の場合、打ち合せの際に、テーブルに『Bounce』があったりして、それをパラパラやりながらああでもないこうでもないとイメージ固めをしていると、絶対に出るのが、「いっそ『White
Album』にしましょうか」という案。誰が、どのタイミングで、どのツラで吐くかにもよりますが、先日は担当ディレクターが見事その役を果たし、多いに盛り上がり、盛り下がりました。
写真はたまに聴くMaster Cuts。メロウ編、ジャズ・ファンク編、ガラージ編、レア・グルーヴ編と、どのシリーズを買っても聴き覚えのある曲が大量に入っていて、しかしそのフルレングス・ヴァージョンの新鮮さに打ちのめされるという点では、若い子にこそ聴いて貰いたいと思っていますが、本当はそんなこと思っていません。人がなにを聴いていようが自分にはなんの関係もありません。
ただ、ひとつデザイナーっぽくリコメンすると、このシリーズって、レコード棚に10枚ぐらい並んだときがスゴくカッコいいんですよね。2枚組だから背がブ厚くて、銀ジャケの光沢がハゲたりしていて、それらがまとまったときの「俺らイイ音楽だぜ〜!」ってオーラがたまらなくいい。聴けばいまだに発見があるし、これがこれこそが、世界にただ唯一の「コンプリートしがいのある他人の選曲」ではないでしょうか?
それほど愛着が沸かずに『Ultimate
Breaks & Beats』を手放してしまったのは、たぶん、ジャケが2パターンあるから。まとまったときのパワー不足かもしれません。
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※)盤が見つからないので細かく確認していませんが、この窓の絵の引きがイエローの単色で刷られたミネソタ・フォーク・コンピ、『Get
Folked』収録の (そして『Riversong』CD化のボーナス・トラックにもなっていた)2曲と同じ晩の録音だと思います。発売を考えていなかったにしては、音もよいです。
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2008.04.24
/ Mark Henley『Live At Charlotte's Web』
昨晩、初めて救急車に乗った。
朝から咳が酷く、夕方から寒気がして、右耳が聴こえづらくなり、21時を廻った頃にはその奥に鈍痛。それが夜中までかけ、眠れないほどの激痛に豊熟し、もう、その熱源が耳の奥だか奥歯だか首筋だかわからないまま、顔の右半分をグッと抑えて部屋のなかをグルグルグルグルと徘徊するほどに。しばらく悩むも原因もわからず恐いので、とりあえず救急車を呼んだ。
「耳以外は正常です。歩けますし意識もハッキリしています。年配のかたも多く住んでいるマンションなので、サイレン消してきてください」の願いは叶わず、5分も経たないうちに、(聴こえづらい耳にも)サイレンがフェードインしてきた。
病名は、突発性中耳炎。風邪で繁殖したバイ菌が、喉に流れずに耳にいったための症状だそう。耳と口の距離が短い幼児や乳児はよくかかる定番らしいのだけど、はしかや水疱瘡などと同じく、大人の症状は重い。
25時を廻った頃、そこだけが明るい病院の個室トイレのなかで、いろんな怪談を思い出しながら、処方された座薬をイン。帰りのタクシーの車内、すぐに痛みは引いたが、しばらくは4種もの薬を呑みつづけなくてはならない。
アシッド・カルチャーから産まれた音楽は大好きだけど、自分自身、幼少の頃から薬には縁がないから、すぐさまの効き目がとんでもない。今日は明日のラフ出しまでにもう一案、すでに頭に浮かんでいるデザインを形にしたいのだけど、眠くて眠くてペンを持つ気にならず……
……程度の被害でホントよかったな。あのままモノラルになったら困ったろうなぁ。
写真は韓国Bella Terraから出たMark Henleyのライヴ(※)。延々弾き語りの穏やかな内容で、Paul
Simon「April Come She Will」のカヴァーなど絶品。とても耳によいです。
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2008.04.23
/ Jean Marie Aerts(AKA JMX)「La Valse De La Via」
従来のレーベル・イメージを刷新する大傑作。なんでも70年代から活躍していたベテランの新作……とのことですが、これがもう、ほとんど『Love
on the Beat』〜『You're
Under Arrest』期のゲンズブールを弱小シードバンクの有機栽培溶液で腐らせたようにしか聴こえない異形のチャンポン・ダブ・ポップで目がハート。
いまのミュージシャンが、複数の音楽フォーマットからの影響を噛み合わせ、その継ぎ目を馴染ませることでレコーディングを終らせているのに対し、この人は、そのあたりが散らかったままになっているのがなにより素晴しく、音質〜ミックスのオーラから察するに、80年代の蔵出し音源のようにも聴こえるのですが、これ、本当に新録なのかな?
それにしても、B2の「Tighten
Up」ふうリズムボックス・ファンク、「Major Seven」の安さといったらもう……。
今日も引き続きのCDジャケ。引越しの際に、インクジェット・プリンターを処分してしまったことが大変に悔やまれる。
というのも、メイン・イメージにペインティングを使うとき、手描きのアウトラインをADOBEで着色し、それをインクジェット出力。すぐさま洗面器の水に浸け、色味を滲ませて再スキャン……みたいなことをよくやっていたのですが、レーザーのトナー定着は水道水などにはビクともせず、しまった!
……という。
能率やスピードばかりに固執すると、えてしてこういうことになりがちですね……。
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2008.04.22
Nerk & Dirk Leyers「Perse X」
Madteo+Sensational「Basiado Beatdown」
Switch+Toktokのコンビの新作は、4つ打ちじゃないハウスに、壁にブン投げた生卵の泡立ち〜垂れゆく様子を思わせる超だらしない低音と、雅楽の笛に聴こえるシャープな高音という、ふたつの電子音ばかりが耳につく、フロアすっ転ばし系の傑作エレクトロ「Perse」収録。ぬいぐるみでも超合金でもなく、ソフビな感覚が非常にクセになり、起き抜けの1曲として大活躍。裏面の「X」は、よりDJフレンドリーで、雨だれをブーストしたかのような水中系のマシュマロ・サウンドに、硬〜いキックが入る。
こっちの音選びと配置は、ちょっと日本人っぽくもあるかな。所謂、二枚目なトラックです。
二枚目といえば、Sensational(元ジャンブラ)のラップ。初期Rawkus〜Shawn J. Periodワークスの興奮が蘇りつつ、もっともっとイルでいる、炭疽菌バッキバキのスモーキー・トラックに、刺すところは刺し、ほかはヨレている強烈な個性がオン。真っ黒なラベル、意匠を感じさせる音溝の切り方(ふつうに針を落としたのでは永遠に再生されません)もいい。トラック自体の出来としては、適当に叩いたMPCシーケンスの偶発性に頼りすぎている気がしないでもないのですが、そのあたりの欠点が、声のパワーで一気に「作品化」する感覚がたまらなくもあり。
せっかく声をかけていただいたので、小西さんのページになにか書かなくては……と思うのだけど、今日も書きたいことがなにも出てこない……。
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2008.04.21
/ Luke Abbott「Tuesday EP」
カンタベリー・テックの最高傑作! フェードで浸入してくるキック、低域を覆うアナログ機材のヒスノイズなど含めの牧歌的包容力。たいしたドラマはないが画角だけは異常に広い、元Out
Put組とは思えない引き出し。タイトルからして最高に冴えている「We Are Made Of Glass」は、原音を忘れてフリークアウトするディレイ成分のみで構築されたかのような印象のエーテル・チューン。Polygon
Window期のAphex
Twinにも通じる、「かろうじて音楽」なラボ感(と旅情)にシビれます。
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2008.04.20
/ Big Youth『Natty Cultural Dread』
神奈川県全域で禁煙? 自分は煙草を吸わないし、吸おうと思ったこともないけれど、これはちょっとカワイソー。ただでさえ分煙が進み、話の途中なのに愛煙者グループが中座、みたいなことが増えているのに、さらに彼らは隠れて吸わなくてはいけなくなるし(我慢するということは絶対にしないから)、そんな友達の背中を見るのは、なんとなく面倒だ。
あと、旨そうに煙草を吸う初老を眺めながら呑める居酒屋などを例に出すまでもなく、少しの毒は、蜜をより甘くさせる、みたいなシチュエーションはたくさんあるように思うしね。たとえば雀荘の煙なんて、スイカの塩のようなものでしょう。
別の意見。
今後増加の一途を辿る医療費の問題などを見越して、喫煙者からは保険料を多く取ればいいのにな、と思う。とくに、金はないくせに平和ボケだけは根深い自分ら同世代は、命なんてなくならないと思っている人がほとんどなのだから、しっかり目先の危機感を与えてあげたほうがいいと思うんだけどな(愛煙者の大多数が肺ガン患者になれば、自分の医療費もあがるのは必至。国に甘えてないで、自分らで貯蓄しないさい、という意味ね。煙草自体の値上げでは、まだまだ廻りくどいでしょう)。
さらに、会社員の人は給料にも差をつけてしかるべき。ノンスモーカーには、口の前に二本指をかざしつつ猫背で退席できるタバコ休憩などないし、「アメ舐めてきます」などとは間違っても吐けないのだから、時給換算で月5〜6時間の天引きがあってもよいようなもの。
……と、数分の思考でこれだけの矛盾。JT株の半分を財務大臣が握っている、というのは有名な話だけど、その財務大臣とやらも、結構アンビバレントな気持ちでいるのかな。それとも、辞職後、自分さえモルジブあたりにでも逃げられれば、国や他人はどうでもいい……というような、まさに自分のような人間なのだろうか。
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2008.04.19
/ Various Artists『Ernte 25』
引き続きダウン中。薬を呑むと、熱があがる。なぜだろう? 新しく買った体温計は、アラームの音が小さすぎて、気づくと脇に挟んだままになっている。なんだこれは?
写真はベルリンの川縁に造られた水上住宅ふうライヴハウスが監修したジャーマン・ポップのコンピ。ダンボールで作られた見開きボックスにCDと7インチが収まっているのだけど、その固定方法が、いままで見たことのない(しかも留め金をいっさい使わないペーパー・クラフト的発想の)仕様で感動。
紙の可能性ということでは、先日衝動買いしたDavid
A Carter『600 Black Spots』にトドメを刺されていましたが、あれが「可能性」そのものにフォーカスしていたのに対し、こっちは実用性のみに終始しているところにグッときた。CD1枚と7インチ1枚+過剰包装の価格にしてはちょっと高め。しかしこれは買いでしょう。一見の価値があります。
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※ファースト・プレスは白フチつきのデザインでしたが、そこに置かれたタイトルと原画のそれがバッティングするなど、お世辞にも丁寧な仕事ではなかった。買うなら断然こっちでしょう。 |
2008.04.18
/ Various Artists『Last Kind Words 1926-1953』
娘の喉風邪を貰いダウン中。漫画はまだダンボールのなかだし、小説に没頭する正気もないので、テレビを観ながらゴロゴロする。少し気分がよくなったときを狙って仕事。いまはエルマロ柚木さんのソロ・アルバム(豪気かつ脆いロックをベースに、ジャズやアヴァンの注入具合が絶妙)など、数枚のCDを中心に動いているのだけど、どれも比較的自由度の高い作業で救われる。こんな頭では、細かなページ割りやルーペを使っての文字校など、できるわけがなく。
テレビ中、ユニクロのコラボTシャツのCMに、Keith
Haringの写真ポートレイトをあしらったものを発見。うっかり欲しいと思ったが、街中で人とカブるのが恐ろしく、買えない(自意識過剰?)。
写真は、feat. Blind
Willie McTell、Memphis
Minnie、Kid
Prince Moore、Robert
Petwayな1920〜50年代のブルース・コンピレーション。不遇や貧困といった暗黒ステレオタイプの抽出ではなく、この内容にこの絵を持ってきた(※)、というのが泣けるほど素晴らしい。
NRBQの面々は計8枚買ったか?
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2008.04.12
/ Uusitalo『Karhunainen』AMAZON
Vladislav
Delay=Luomo=この人。の最新作。少し前に出ていたものをようやく聴きました。シンプルなベース・ライン+αのシーケンスを走らせて、そこに生ドラム(やサンプルをアサインしたパッド)を叩き、編集ナシ前提のアナログ・テープで録ったという、確かに突出した質感のダビーなテクノ作品。3秒ぐらいの試聴だとストレートなダンス・ミュージックに聴こえますが、トラック全体を通して聴くと、奇異、としか表現できないリズムのバランス/アンバランスが染みてくるわけです。古道具屋の精霊が猫背で録りためたミニマル・ビートにメルツ建築的無味乾燥がクレーンでオンした……ような風情もあり、My
Spaceでも聴ける「Karhunainen」や「Himo Perkele」、そして、気持ちが急くようなアンビエント(←語義矛盾)の「Puut
Juuriltaan」など、何度か聴くと「育つ」トラックを多数収録。たとえばDJ
Kozeの作るトラックに聴こえる、砂利道をスキップするかのようなループ感。そのへんが好きな人も、地味に打ちのめされるでしょう。
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2008.04.11
『IDEA no.328』
Zwanie Jonson『...It's Zwanietime!』AMAZON
もう書店に並んでいると思います。「デザイナーの編集」と「編集的デザイン」の採集で、全24組24冊(といっても4Pづつ)の雑誌内雑誌=草の根のデザイン特集号。江森は「五線譜のニューフォーマット」で参加しています。新規の「ZINE」を作っている方が思いのほか少なく、少し浮いて見えるかと思いますが、ぜひ御覧ください。
また、ライナーを担当したZwanie Jonson(写真下)も発売中。相も変わらず息継ぎの難しい長文を寄稿しております。
急遽舞い込んだジャケ仕事のため、今月は計3枚が同時進行。まずは火曜日のラフ出しのため、正方形との格闘が続いています。
新しい本の企画は、めいっぱい難航中。鈍りに鈍ったブッキング・センスを呪う日々。
それら時間の隙間を狙って、引越しで見つかった『月と6ペンス』を再読。ゴーギャンの生涯をRE-EDITすることで、幼い自分に「芸術家とは?」の偏頗なイメージを決定づけてしまったと思われる、やはり名作。ただし訳が古い。古すぎる。これを読み終わったら岩波文庫の新訳を買ってみようと思う。
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2008.04.09
/ Lemon Lime「Malcolm McLennon」
やらない自分が言うのもなんですが、ありとあらゆる音声ファイルのピッチ、テンポが、ラップトップとマウスのみでズタズタに切り刻め、プロセッシングできてしまう昨今、かつてMash
UpとかBastard Popと呼ばれていたような音楽が生き残る術は、意味や意義を経た(またはまったく経ない)「美術性」に懸かっています。あれだけ騒がれた2Many
DJ'sの作品が、口に出すのも恥ずかしいとされてしまう世間一般の焼畑農業根性に戦いを挑むには、ただ「スゲェハマってる」とか「超アッパー」なだけでは許されません。……ということを完璧に理解した物体がロンドンから到着。これはMalcom
McLaren「About
Her」とJohn
Lennon「Imagine」のミックスで、「About Her」は『KILL
BILL 2』挿入歌で話題になったあの曲。しかもこの曲はZombiesのサンプリングで成り立っていたようなものなので、廃物利用にもほどがあり、しかしそこにわざわざジャケをつけ、このタイトルをカマし、音のいい重量盤ながら音の悪いクリア・ヴィニール仕様(無益!)としてリリースしてしまうところに、この盤の存在意義の99%を見るのです(あとの1%はもう聴かないのでわかりません)。
映画でいえば『ビヨンド・ザ・リミット』とか『女子高生チェーンソー』みたいなコンテ感に裏打ちされた、肉体性欠如のパーフェクト・ヴァイナル。アートに金を出したのに、音まで出るなんて!
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2008.04.03
/ Show & AG『Runaway Slave』AMAZON
朝から爆音のヒップホップ。天井づけスピーカーの宿命か、レンジの広いアナログ盤だとキックやベースが浮つき気味に聴こえてしまい、そのためダンス・ミュージック〜12インチ離れが激しかったのだけど、ターンテーブルのスタビライザーを新調することでそれがあっさり解決してしまった。yoga'n'antsでのサンプリングでも、エンジニア渡辺くんがスピーカー・ウェイトに使っていた合金削り出しをレコードに乗せることで(中低域に)抜群の効力を発揮していたのだから、もっと早く気づけばよかった。いまはズシッとタイトなキックを聴くのが楽しくてしかたがなく、Prince『1999』やPatrice
Rushen『Now』など、打ち込みの入ったプロダクションのブラック・ミュージックまでを次々にプレイ。軽い中毒症状が出ています。
中毒症状といえば、年間通してこの時期だけ出回る小女子(こうなご/イカナゴの稚魚)の旨さにも。どっさり入って¥250ぐらいの釜茹でパックを買ってきて、同じ分量だけの大根おろしをそこに混ぜ、炊きたての白飯のうえに敷き詰め、万能ネギ(あればゴマも)をたっぷりとまぶし、醤油を垂らして食べるだけ。これがもう、唸るほど美味しい。酒の締めにも最高。今年はもう500匹ぐらいいっているのではないか。
近くにデカいスーパーや魚屋がある人はぜひ。そろそろ来年までおあずけになりますよ。
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2008.04.02
菊地成孔 大谷能生著『M/D マイルス・デューイ・ディヴィスIII世研究』AMAZON
Life On Earth『Look There Is...』AMAZON
ここ数日聴きまくっている、ほぼStrawberry
Alarm Clockかつ「Strawberry
Fields Forever」な60'sサイケ版のRutlesというかパーソナリティの見えやすく人肌なDukes
of Stratosphearというか……な、Life On Earthのアルバム『Look There Is...』(写真下)を今朝も爆音で鳴らしていたら、フルートの休符を突くようにドアベルの電子音がオン。デザイナーの千原航さんより、プレゼントが到着。菊地成孔&大谷能生著『M/D
マイルス・デューイ・ディヴィスIII世研究』。千原さんのmixi告知によれば、B6/上製本/776p/束54mm/重さ890g
とのことで、こ、これはまさに、トッポギをオカズにナンを頬張るようなトゥ・マッチ・エクスペリエンス。最近カバンを持たない自分が読み終わるのはいつになるのでしょうか……なボリュームなのですが、ほとんど共感できる個所がないにもかかわらず愛読していた『マイルス・デイビス自叙伝』を、土踏まずの最下層から刷新するかのような暴力的インタープリテーション〜言葉のクラスター爆撃に、いまから期待大。これを枕の下に、というか、これを枕に、少しづつ読んでいこうと思っています。
もちろんのこと、ブック・デザインは最高。購買層の大半が、それに邪魔されたくないであろう(デザイナーの)作家性を極力排した、しかし千原さんならではの職人仕事が愛でられます。文字を磨き、写真を磨き、版面(はんづら)を整え、その対価として、ギャラを貰う。表紙が白いから、というわけではありませんが、デザインは、エステに似ている……なんてことを思いました。
ほかの主流には、美容整形や臓器移植や亡骸エンバーミングなデザインがあったりするのですが、どちらがより困難かは、あえて書かずとも。
ちなみにたったいま大好きなマイルスは『Miles
Smiles』です(A2の「Circle」ばかりを聴いてしまいますが)。このまま陽が出たり入ったりするのであれば、『Porgy
And Bess』あたりもちょうどいいかもしれない。
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2008.04.01
/『MdN Designers File 2008』AMAZON
江森の仕事が紹介された『MdN Desiners
File 2008』が発売後、結構経っています。告知が遅れたのは引越しのせい。今朝、ダンボールのなかから発掘されました。今回は作品提供のみで、自分でデザインできる場所はないので、そのぶんポートレイトにはこだわってみました。笑ってください。
サイトがオープンしたての頃は、ページのめくりかたがわからず、いつも奥付までジャンプしてしまうので、「あぁ、まだみんな準備期間なのね……表紙だけなのね……」と勘違いしていたBCCKSに奇跡的名著を発見。遅ればせながら、これ、すばらしすぎますね。
とにかく濃密。場面展開、空気感が鬼凄。夢中で読みました。この人のデザイン(や編集)に比べたら、自分のそれは、まだまだ遊び。乳飲み子のそれだ。……と、前向きに打ちのめされました。
LIBROでもLOGOSでも売ってませんが、売ればかなり売れるでしょう。表紙はクラフト紙+OPニス。本文ページは微塗工紙を使い、花布とスピンをシルバーに誂えた現物が欲しい。¥5800ぐらい?
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YOU TUBEにPVありました。
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2008.03.30
/ Butthole Surfers『Independent Worm Saloon』AMAZON
Corneliusのライヴ@東京国際フォーラム。特急で制作/入稿し、なんとか間にあったパンフレット(タダのと¥4500の2種)を確認して、留飲をくるぶしまで下げながらシートに座る。その安堵を抜きに、本編と、2回のアンコール。そのすべてが本当に素晴しかった。
自分がそのディテールを細かく伝えてもいいのだけど、たとえば自分でない人間が、どこかで自分と同じことを書いていたり、言っていたりしたら、「いや、それは違うね!」と戦いたくなる気持ちがすでにあるから、そういう自分もなにも書けません……という気持ちになるようなステージが、ほかにあるのかと思う。……というのが感想です(要は、言葉にならない感じね)。
ただひとつ、ステージの天井から降りてくる棒状の照明装置の「在りよう」はヤバかった。スクリーンの映像とストロボ(そしてもちろん演奏)に、さんざんに底上げされたショック解析能力が、そこで一瞬覚めるかと思いきや、まだ夢だったというあの感じ。CGから特撮(実写)に戻って懐かしい気持ちになるのだけど、まだまだ夢から覚めないというあの感じ……。
終演後、みんなで少し呑んだのだけど、諸事情あって、泣く泣く帰宅。ひとりの帰り道、頭のなかで鳴っていたのは、なぜか(微妙な時期の)Butthole
Surfersであった。何故だ?
また、その後の北山さん報告では、自分が帰った直後に、お店でyoga'n'antsのアルバムがかかったらしい(もち仕込みナシ)。小山田くんや堀江くんみんなして「執念だねぇ。相当呑みたかったんだねぇ」と笑ってもらったようで、なんだかムズがゆい気持ち。
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2008.03.28
/『IDEA no.326』
きのうは『アイデア』編集部まで色校正のチェック。下版は今日とのことで、大きな直しがなくてよかった。お土産に頂いたバックナンバーを眺めながら帰宅。巻頭の特集・服部一也「視覚伝達」が本当に素晴らしい。お茶の水から乗ったJRの車内、部活の帰りか塾への行きで場違いな子供たちの視線が、八面玲瓏な発色(のケーキ)の上に降り注がれ、ページをめくるのに躊躇しました。Vier5(フィーア・フュンフ)の特集も嬉しかった。
今日はこれから健康診断。去年の夏に採った血は、嫌になるほど健康で、「20代前半の血です」と言われたが、今回はバリウムまで飲む本格的なもの。なにか欠陥が見つかるのではないかと不安。
病気といえば、最近知ったPolyglandular Addison's Diseaseというのが恐ろしかった。これは、気持ちにストレスがかかってもアドレナリンが産出されないという奇病で、ジェットコースタ−やホラー映画などはもってのほか、突然にプレゼントを与えられての昂りなど、明るい出来事すらも発作の引き金になってしまうのだとか。
現時点での発症はまだ数名ながら、そのほとんどが子供なのだそう。なんて悲しい病気だろう。残酷にもほどがある。
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2008.03.27
/ Jerry Johansson And A String Quartet From Gothenburg Symohony
Orchestra『SAME』
Peter Broderick『Docile』が、スタジオ入場から退場までの25分を一発録音したWim
Mertens〜Soft Verdict的色彩感の傑作ピアノソロ・アルバムで10回は聴いたKning
Diskからの革命的傑作。柔らかな弦楽五重奏に、なんとシタールがボムされた、西洋/東洋のモーフィング・アルバムにして、究極のアマルガム・ミュージック。もう、この編成/コンセプトを想った時点で傑作が約束されたようなものですが、実際の響きも、静謐な12音階と瞑想的ヒンドゥースターニーが、クルクルと入れ替わり、道を譲りあい、ときに混和する、ワインとチャイの蠱惑的チャンポン。もはやこの越境は、現代美術の粋に達しております……。
まっさきに思い出したのは、Corneliusの「The
Star-Spangled-Gayo(星条旗+君が代)」ですが、小山田くんのギターが秒殺的快楽の連鎖だったのに対し、こっちは50分をかけ、ゆっくりと快感の海に沈められる感じ。
編集的、デザイン的に音楽を作っている人は全員必聴。歴史的名盤とは、こういうもののことを指すのです。
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写真は、Roxy Musicの1枚目。これと『Siren』と『Avalon』は手放さずに残したのだけど、最近、彼らの4枚組BOX『Thrill
of It All』のブックレットに、オリジナル・アートワークのアザー(没テイク)が山ほど印刷されていると知り(『Avalon』の騎士が女性だったとわかる写真までがあるらしい!)、しかしそれ見たさに一箱を買い直していいものかどうか……というのが目下の平和な悩みです。
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2008.03.24
/ Roxy Music『Roxy Music』AMAZON
知り合いのライターさんには「なるべくチャラい感じの紹介を! なんならカフェでもインテリア・ミュージックでもクラブ・ジャズでも、とにかく間口を広く! 耳の悪い人にはそれを間に受けてもらってもいいし、たとえそれでも害はないから……」とお願いしていたyoga'n'ants『Bethlehem,
We are on our own』評ですが、友人からの通告で、あのアルバムのコアを端的に評価してくれた記事のことを知り、朝から晴れ晴れ。
「謎をキャッチできるか、探し求めているかはリスナーにとっても重要な資質だ。」
というのは本当にそう。どなたか存じあげませんが、どうもありがとうございます。これはとても嬉しい評価でした。
でも、雑誌じゃこんなこと書けないよね。字数的にも、編集的にも。
謎度といえばCass
Mccombs『Dropping the Writ』における濃度も相当なもの。きのうのアップぶんのいちばん上のジャケ……からしてもう、本気だか呑気だかノンケだかわからない感じで最高ですが、音もアク強し。宗教の勧誘さんを居間まで呼び込み、午後ぶんの内職を手伝わせてしまうような豪気さを感じさせる演奏に、そのあとでドン底まで落ち込む耽美的素養がグルグルに渦巻き、しかも耳当たりは爽やかですらある、という鬼の大名盤です。聴き手にピーク・ポイントを覚らせないネジれたソング・ライティングは、アメリカ人にしてPeter
Blegvadの師匠のよう。声はLawrence
Haywardにソックリ。よすぎて疲れるのであまりリピートはしていませんが、これは間違いなく今月のベストでしょう。謎もここまでくると、解こうとすら思わせません。
その下のAtlas
Sound『Let The Blind Lead Those Who Can See But Cannot Feel』もよく聴いています。DeerhunterのBradford
Coxのソロ作品で、バンドとは違った家内制のオケに、カナダのSSWにも通じる冷たいサイケデリック・フィーリングが乗る佳作。中盤の「Cold
As Ice」という曲が、Plushのデスクトップ版のようで新鮮。人類絶滅後に地球外生命体が意訳/再現したカントリー・ミュージックのようにも聴こえます。
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2008.01.31
/ Fanzine, Cassette Tapes...
きのうに続いて「処分」の話。
デッキを捨てたのに、テープを残すとは何事か。しかし人(とくに男性)には不必要だと解っていても手放せないものがあり、自分の場合のそれは、こういった手作りのファンジンだったりカセットだったりします。
廃棄し供養するには、どうにも人肌や情念が入りすぎているように思うし、その温度の高さに反して、この価値をわかるセンシティヴというのも、刻一刻と淘汰されてゆくはずだから、このぐらいの小さなものであれば、収納の隅に忘れておいてもいいのかな、と、今朝早く、至極穏やかな気持ちで靴箱へと埋葬。さらにその靴箱をダンボールの奥底へと沈めたのでした。
映画『チャーリーとチョコレート工場』の序盤に、見事工場への招待チケットを引き当てた主人公の坊主が、極貧大家族のザコ寝部屋に戻り、「このチケットに大金を払う人がいるんだ」と換金を提案すると、すぐさま長老の爺さんが「紙幣は毎月たくさん印刷されている。しかし、このチケットは世界にたった5枚しかない。それらを取り替えてしまうのは、よほどのマヌケだ。お前はマヌケじゃないだろう?」と諭すシーンがあります。勿論これらのテープに、そのチケットほどの値打ちを望めるはずはありませんし、たとえこれらを窓から放り投げてしまっても、馬鹿ではあれ、マヌケではないと思うのですが、ただ、少なからず、3000枚を売るために5000枚をプレスする現在のCDが、その「紙幣」だとすれば、今後間違ってもリプレスされることのない、これら化石のような作品は、やはり「チケット」のほうに属するものだと思うのです。
また、自分にとってのこれらの作品は、なにか大きなもの、主流となるものに対し、闇雲に反発し、青く蒼くあり続けたいと感じていたあの頃の気持ちを忘れないための「錨」のような役割を果たしていたりもします。
いまは、大きなものに属したい……広い舞台に立ちたい……主流のケツにでもいいからついてゆきたい……見栄とプライドの区別がつかない……みたいな人がほとんどだから、音楽も、野心や作為ばかりに溢れた大振りで卑しいものが主流となっているのだけど、これらのテープに関わった人間、受け取った人間には、小さなまま、タイニーなままでいるほうが、有名になるよりもずっと美しい、ずっと強いと信じていた時期が、確かにあった。いまやもう、そんな生白い感性が通用する場所なんて、ハッキリと何処にもないけれど、だからといってそれをなかったことにしてしまうことはないと思うし、たまに思い出すぐらいのことは、してやってもいいはずだと思うのです。
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◇と、甘酸っぱいネオアコ臭を漂わせたまま、引越しのため、この日記はひとまずお休みします。再開は3月の予定です。
◇ネオアコ/ギターポップに強い熊本のお店、Peanuts
Recordsさんでyoga'n'antsの取り扱いが始まりました。
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2008.01.30
/ Everything But The Girl『Eden』AMAZON
きのうは『Life
at Slits』の打ち上げ。山下さんと浜田くんと3人で食事。うっかり山下さんに奢られてしまった某台湾料理屋の皿は完璧な現地味で素晴しく、話は終始面白く、引越しが目前につき二軒目にはいけなかったのだけど、腹も心も充分に満ちた。山下さんのトークは、浜田くんが「なぜあの時この話をしてくれなかったのか」と悔しがるほどの密度で、終始笑ったり唸ったり。
その経験と視座は、どこまでも深く、そして優しい。
引越しはレコードとCDの梱包が大方終わり、部屋全体がらくだ色に変化。この機会に少しは身軽になろうと「残すレコードは1アーティスト3枚まで!
いちばん好きな曲と象徴的な盤がそこにあれば、あとは頭で鳴らせるだろうオレ!」という、ムチャクチャな処分方法を課し、実践しました。
Chet
BakerやKing
Crimson、意外にたくさんあったDon
Cherry、Anita Kerr Singersなどの選択には、かなりの苦戦を強いられましたが、目をつぶり1枚選んでも間違いなく好きなレコードがかかる、という環境は、セレンディピティを殺してしまうようでいて、それはそれなりの新しい発見がありそうな気がします。
ちなみに自分がもっとも枚数を持っていたアーティストは、意外にもEverything But The Girl(写真)。僅差でZappaやColtraneが多くありましたが、それらの半分はCDなので、首位には登らず。EBTGに関しては12インチと7インチが本当にうじゃうじゃとあり、その選択には、軽く30分ほど悩んでしまいました。また、処分の箱に詰め終わったいまも、軽く悩んでいたりします。
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写真のジャケは画像検索で見つけた国内プレスのもの。Crammed
Discsのオリジナル盤とは、タイポの流しかたが違うんですね。
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2008.01.23
/ Hermine「The World on My Plates」AMAZON
自分がこの世でもっとも好きな楽曲は、Bill
Evansの「Waltz for Debby」。このカヴァー・ヴァージョンを集め始めてから随分になるのですが、yoga'n'antsの著作権管理で関わったJASRACの著作権使用者検索機能を知ったことで、いままでの1本釣りが、沖網漁へと発展。ついには大江千里のヴァージョンまでを買わなくてはいけなくなってしまった昨今、その購入を後押しする大感動のYou
Tubeリンクが知らされた……。
大江千里作曲・渡辺美里歌唱による89年のヒット曲「すき」の野外ライヴ映像がそれ(コレ)。ともかくは先入観ナシに観てみて欲しいのですが、豪雨のなか、主催者サイドから中止が言い渡されても、それを振り切って歌い続ける彼女に、大自然からの奇跡的恩恵が!! 問題の3分4秒ちょうどに鳴り響く◯◇△◇には、ひさびさの酸欠と目眩を覚えてしまいました。あぁ、びっくりした。
You Tubeからのショック、ということでは、Feistの新しいPVが信じがたいほどの美しさで感涙。切なさとか楽しさが目いっぱいに振り切れちゃったときのあの気持ち。意味なく駆け出したくなるあの気持ち。最近味わっていなかったあの気持ちが、見事なまでに映像化されています。監督は「1234」と同じくPatrick
Daughters。今回も究極の長回しを見せてくれています。
今日の1枚目はHermine。B面の「若めのNico」3連発には、忘れがたい雪の思い出が詰まっていたりもするのです。もっともっと積もるといいなぁ……。
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※1)まぁ、スウェーデンやカナダのインディがウチの棚を覗けば、「なんでお前そんなのまで持ってんの?」となるはずだろうから、そのへんはお互いさまなのだけど。
※2)まだ何枚か作りますが。
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2008.01.19
/ Joyce『Saudade Do Futuro』
NYのアヴァンJazz屋、Downtown
Music Galleryと香港の個人からyoga'n'antsのCDの注文があった。
前者はアルバムにも深い深い爪痕を残して頂いた鬼怒無月さん関連の商品なども展開しているようで、日本の音楽にも積極的なお店なのだけど、それにしても自分のことをとてもよく知っていて、Jet
SetでTシャツまでを通販してくれたという奇特人間大賞からのオーダー。アナログのみのリリースの音源や、グラフィック・デザインも褒めてくれたのだけど、いったいどこでそんな情報を仕入れているのかと思う(※1)。
そして後者は香港のVisual Merchandising Designer(空間プロデューサー?)さんで、自分の手がけた店舗のBGMにするらしく、個人ながら15枚のまとめ買い。こういうのはとてもとても嬉しい。
正直、『Bethlehem, We are on our own』は、発売から3ヵ月が経過し、日本国内にはある程度届き切った印象。これから中古盤として2割程度が流通し、新譜としては動きづらくなる。誰でも知ってる外資の2大・大型店が、どちらも閉店という噂が濃厚に流れる今現在、こういった反応をダイレクトに得られる「最後のCD」に間に合って、本当によかったと思います(※2)。
……と、書きつつ、今日は古いアナログ盤ばかりを聴いていた。印象に残ったのは、Joyceの『Saudade
Do Futuro』。その昔、Mr.Bongoでジャケットのダメージが酷いものを安く買ったもの。「未来への郷愁」というタイトル通りに、85年の人間が夢想した、15年後の未来が、アルバム全編に浮遊。アレンジとアコーディオンはGilson
Peranzzettaで、シンセや効果音に頼ることなく、ちょっとしたヴォイシングのセンスやフレーズの飛びだけで、しなやかでチャーミングな宇宙観を表現している。
クラブDJに再評価されてからのJoyceは、自分に求められているものがわかりすぎてしまった嫌いがあり聴いていないのだけど、これ以前の作品は、まさに至宝だと思う。自分には、いまだに探しているEPがあったりもします。
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yoga'n'ants INFORMATION

◆yoga'n'ants
OFFICIAL T-SHIRTS
YNA in Bush(左)¥3900
YNA in Flambeaus(左)¥3900
冬ですが、好評につき追加清算いたしました。Shopのページからどうぞ。
また、左の「YNA in Bush」はセレクト・ショップAdam
et ropeさんのみのヴァージョンも発売されます。こちらもどうぞよろしくお願いします。
◆WEB直販(好評につき送料サービスとなりました)
こちらです。
取り扱い店舗も募集中です。ディストリビューターのBOUNDEEさんより全国レコード店に流通がありますが、ウチの店でも売ってやろうという個人商店のかたはこちらより直接御連絡ください。
また、「友達を集めたので3枚のみ卸し価格で」などは御遠慮頂きたいのですが、たとえば放送部の貴方が校内放送でヘヴィプレイし、その結果、クラスの過半数が買う、みたいな特異な状況の場合はすぐに御連絡ください。面白いので。
◆全曲解説
特設ページからどうぞ。説明しなくても伝わる音楽を作ったつもりですが、長いです。
◆雑誌掲載情報
『装苑』『ダ・ヴィンチ』『bounce』『Invitation』『WEEKLYぴあ』『PHONO』『FUDGE』『MUSICA』『VICE』『m/f』『SOUND&RECORDING
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